1. お正月の感動を生み出す舞台
毎年、お正月になると箱根駅伝を楽しみにしています。年末年始の慌ただしさの中でも、この大会が始まると、自然とテレビの前に足が向きます。今年も、往路5区で圧倒的な走りを見せた青山学院大学が、その勢いのまま往路・復路ともに優勝を果たしました。山登り区間での走りは特に印象的で、画面越しでも選手の気迫や覚悟が強く伝わってきました。
選手一人ひとりが積み重ねてきた努力、仲間の想いを背負ってタスキをつなぐ姿は、何度見ても胸を打たれます。箱根駅伝は、単なるスポーツイベントではなく、新年の始まりに多くの人へ感動と活力を与えてくれる、日本ならではの特別な存在だと改めて感じました。
今回はローカル5Gから少し離れ、映像中継の世界にお邪魔してみます。
2. 何気なく見ている映像の向こう側
箱根駅伝のコースは、東京・日本橋をスタートし、横浜、湘南を経て、箱根の山へと続きます。高層ビルが立ち並ぶ都市部から、海沿いの開けたエリア、そして急勾配の続く山岳地帯まで、短時間のうちに周囲の環境が劇的に変化します。この変化に富んだコースこそが、箱根駅伝の大きな魅力の一つです。
私たちはテレビを通じて、その様子を極めて自然な映像として目にしています。しかし通信技術者の視点で見ると、この「自然に見える映像」がどれほど高度な技術と綿密な準備の上に成り立っているのかを、つい考えてしまいます。環境条件が刻々と変わる中で、映像を一瞬も途切れさせずに届けることは、決して当たり前のことではありません。
3. 中継を支える技術者たちの存在
私はローカル5Gを扱う業務に携わる中で、映像伝送をテーマとする案件に関わることが多く、テレビ放送の技術関係者の方々と意見交換をする機会もあります。その中で常に感じるのは、「映像を止めない」ことに対する強い責任感と、現場を預かる技術者としての誇りです。
箱根駅伝の中継では、FPU(Field Pick-up Unit)と呼ばれる高周波数帯を利用した無線映像伝送技術が主に用いられています。移動体から高品質な映像をリアルタイムで送り続けるためには、機器性能だけでなく、現場で判断を下す技術者の経験や勘、そしてチームワークが不可欠です。華やかな映像の裏側には、こうしたプロフェッショナルの存在が確かにあります。
4. 見えない苦労の積み重ね
箱根駅伝の中継で使用される周波数帯は、かつての700MHz帯から、周波数再編により1.2GHz帯や2.3GHz帯へと移行しました。周波数が高くなることで、電波の減衰は大きくなり、回り込み特性も変化します。その結果、伝送エリア設計やアンテナ配置の難易度は格段に上がります。
ローカル5GのSub6帯を扱う立場としても、高い周波数を安定して使いこなす難しさは日々実感しています。箱根駅伝のように、沿道の建物や地形、仮設物、さらには年ごとに変わる街の姿に対応しなければならない現場では、事前の下見や測定、検証が欠かせません。本番を想定した厳しい試験を何度も繰り返し、万全の準備を整えて初めて、あの「当たり前の映像」が実現しているのだと思います。
その準備期間を想像すると、担当されている技術者の方々にとっては、クリスマスや正月といった区切りも意識できないほど、緊張感の続く日々であることが伝わってきます。
5. 感動の裏側にある誇りへ敬意を込めて
すべての中継が無事に終わった1月3日の夜。選手や関係者、視聴者が感動の余韻に浸る一方で、裏方として中継を支え続けた技術者の方々は、ようやく肩の力を抜き、大きな達成感と安堵感を噛みしめているのではないでしょうか。
箱根駅伝の感動は、走る選手だけでなく、その舞台を支える多くの人々の力によって生み出されています。映像が途切れないこと、音声が乱れないこと、その一つひとつが、現場で働く技術者の誇りと責任感の結晶です。今年も素晴らしい中継を届けてくださった放送・通信技術者の皆さまに、心から敬意を表したいと思います。そして、少し遅れて訪れる正月休みを、どうかゆっくりと楽しんでいただければと願っています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
京セラみらいエンビジョンまちづくりラボ

京セみらいエンビジョンのラボでは、ローカル5Gネットワークを体感いただけます。 ラボ内には、Wi-Fi6の環境も構築していますので、ローカル5GとWi-Fi6の違いを同時に体感していただくことができます。
問い合わせ
