目次
1. 深刻化するクマ被害と、社会が求める新たな対策
今年の秋口より東北地域を中心にクマの目撃・出没件数が急増し、全国的に人的被害が相次いで報道されました。人口減少や里山の変化により、人と野生動物の距離が縮まっていることが背景とされており、多くの自治体では従来の対策だけでは限界が見え始めています。地域住民の安全確保と迅速な危険検知を両立するため、より高度な"見える化"技術が求められているのが現状です。
当社でもこれまでローカル5GとAIカメラを活用したソリューションを紹介してきましたが、その閲覧数が大きく伸びていることからも、社会の高い関心と危機意識が伺えます。テクノロジーを活用した新たなクマ対策が、いままさに求められています。
当社コラム:AIと通信が守る―クマ被害を防ぐ最前線の技術
https://www.kcme.jp/column/local5g_vol0042.html
2. 三社協業によるローカル5Gクマ対策ソリューションの初期検証
こうした課題に応えるべく、当社は 株式会社アイムービック、株式会社Core-Support の協力を得て、ローカル5Gネットワークを活用したクマ対策ソリューションの初期接続検証を実施しました。今回の取り組みでは、Core-Support社が提供するIPカメラで撮影した映像を、当社のローカル5G回線を通じてアイムービック社のクマ対策AIサービスである 「クマミるAI」 に伝送し、AIによるクマ映像の解析が正確に行われることを確認しました。
元々この仕組みは通信事業者の LTE 回線を利用することを想定しています。しかし、里山の一部エリアでは通信事業者の電波が届かず圏外となる場所も多く存在します。こうした環境下で、高精細映像をリアルタイムに伝送できるローカル 5G の特性は、野生動物の検知のように屋外の広範囲をカバーする必要がある場面で大きな威力を発揮します。今回の検証は、そのポテンシャルを裏付ける成果となりました。
■ローカル5G使用想定イメージ


株式会社アイムービック
公式ページ https://www.eyemovic.com/
株式会社Core-Support
公式ページ https://core-support.biz/
3. LINEへの警報通知まで含めた一連の動作に成功
今回AI解析までの映像伝送にとどまらず、実際の警報通知まで含めたエンドツーエンドの動作を確認しました。クマミるAIがクマを検知すると、登録されたLINEアカウントに警報通知が自動送信される仕組みとなっており、現場での即応性向上に大きく寄与します。
行政職員や地域住民のスマートフォンに直接通知されることで、危険エリアへの立ち入り防止や迅速なパトロールにつながるほか、その後の対応計画にも活用できます。現場で求められる"使えるテクノロジー"として、非常に実用度の高い仕組みであることが確認できました。
■当社ラボでのAIカメラ検証機材

■LINEによる通知画面

4. ローカル5Gだからこそ可能になる多面的な拡張性
今回の検証は「固定カメラ×AI解析」という構成でしたが、ローカル5Gが持つ高帯域・低遅延・高信頼の特性は、さらに広い応用を可能にします。当社では三社の協業を軸に、以下のような拡張ソリューションの提案を検討しています。
ドローンによる上空からのクマ捜索
広域を短時間で把握でき、山間部の監視を大幅に効率化。
デジタルサイネージとの連携
検知情報を自動表示し、登山口や公園などでリアルタイムに注意喚起。
IPトランシーバーとの連動
現場スタッフや自治体職員への迅速な連携を実現。
ローカル5Gは、単なる映像伝送のためのネットワークにとどまらず、現場全体の"安全インフラ"として進化しつつあります。テクノロジーを自由に組み合わせることで、クマ対策の幅は大きく広がっていきます。
5. 技術で地域の安心を守る
今回の成功事例は、ローカル5GとAIが組み合わさることで、これまで困難だった自然環境下での危険監視が現実的な選択肢になることを証明しました。
今後は、株式会社アイムービック、株式会社Core-Support、そして当社の三社協業により、さらなる検証と実証フィールドの拡大を図り、地域の安心安全に寄与するソリューションとして発展させていきます。
クマ被害が深刻化するいまこそ、先進技術による社会貢献の必要性が高まっています。ローカル5GとAIによるクマ対策ソリューションは、その具体的な一歩として大きな意味を持つと考えています。
当社はこれからも、現場に寄り添った技術活用を通じて、持続可能な地域社会の実現に取り組んでまいります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
京セラみらいエンビジョンまちづくりラボ

京セみらいエンビジョンのラボでは、ローカル5Gネットワークを体感いただけます。 ラボ内には、Wi-Fi6の環境も構築していますので、ローカル5GとWi-Fi6の違いを同時に体感していただくことができます。
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