目次
1. 広がりを見せるローカル5Gの端末利用シーン
ローカル5Gは、自営でネットワークを構築できる柔軟性から、工場、物流、教育、医療など幅広い分野で導入が進みつつあります。その実用化を支えるのが「端末」です。端末はネットワークとユーザーの接点であり、利用シーンの拡大に直結します。スマートフォンタイプ、USBドングル、ポケットWi-Fiタイプ、あるいは産業用ルーターなど、用途に応じた多様な形態がすでに市場に登場しています。こうした端末群が整備されることで、ローカル5Gの適用範囲はより広がり、現場ニーズに即したソリューションの実現が可能になります。
2. 京セラみらいエンビジョンのラボでの接続検証の取り組み
京セみらいエンビジョンでは、ローカル5Gシステム「OmniPod」を中心に、様々な端末メーカーと連携しながら接続検証を行ってきました。これまでにAMIT社製の産業用ルーター、スマートフォン型端末、K5G-C-100AのようなポケットWi-Fi型、さらにはUSBドングル型まで、多様な端末との動作検証を実施してきました。これらの取り組みは、実際の導入時にお客様が安心して利用できる環境を整えるための基盤づくりでもあります。今回、新たに住友電気工業株式会社(以下、住友電工)様のローカル5G端末と接続検証を行い、正常に動作することを確認しました。この成果は、ローカル5G端末の選択肢をさらに広げる意味を持っています。
■接続端末 IGW5111

■接続端末 AI搭載機(試作機)

3. 住友電工端末の特長と新たな視点
住友電工様の端末は、従来の端末ラインアップに加え、ローカル5G環境構築に新しい視点を与える存在です。特に、屋外や粉塵の舞う工場といった厳しい環境下での利用を想定し、堅牢な設計を採用している点が特徴的です。また、Ethernet、RS-485、DIDOといった代表的な産業用インターフェースを搭載し、既存の産業機器との親和性を確保。さらにLTE/NRといったパブリック回線にも対応しており、用途や環境に応じて柔軟に使い分けることが可能です。こうした多機能性と堅牢性を備えた端末は、従来の「閉じた環境での利用」だけでなく、より幅広い社会インフラでの応用を可能にします。

※住友電気工業株式会社様カタログより引用
4. エッジAIと設置柔軟性がもたらす応用範囲
住友電工様の端末の大きな強みのひとつに、NVIDIA製GPUを搭載可能である点があります。これにより、映像データを端末側で処理する「エッジAI」の利用が可能となり、工場での生産性向上や安全対策、さらには交通制御や信号管理といった分野での活用が期待されます。例えば工場では、作業員の安全確認や異常検知をリアルタイムで行うことが可能となり、交通分野では渋滞の最適化や安全運転支援につなげることができます。また、ポールマウント、ウォールマウント、クレードル設置といった多様な設置方式に対応しているため、現場環境に応じた柔軟な導入が実現できます。この柔軟性は、屋外環境での本格的な5G活用を後押しするものとなるでしょう。

※住友電気工業株式会社様カタログより引用
5. ローカル5G普及期の到来への期待
今回の検証を通じて明らかになったのは、ローカル5Gの端末多様化が利用シーンの拡大に直結するという点です。住友電工様の端末が示すように、高耐久性やエッジAI機能を備えた機器は、工場や社会インフラといった従来カバーが難しかった領域への応用を可能にします。
さらに重要なのは、これらの端末が「実際の利用現場」を強く意識して設計されている点です。屋外設置や粉塵環境下での稼働、産業用インターフェースの実装などは、研究用途や実証実験向けではなく、本格的な社会実装を前提にしています。つまり、実利用を想定した端末が市場に登場してきたこと自体が、ローカル5Gが「普及期」に入りつつあることを示していると言えるでしょう。
今後も端末の進化とともに、利用可能な領域がさらに広がり、ローカル5Gは単なる通信手段にとどまらず、社会全体の効率化や安全性向上に寄与する「社会実装型インフラ」へと進化していくことが期待されます。
最後までご覧いただきありがとうございました。
京セラみらいエンビジョンまちづくりラボ

京セみらいエンビジョンのラボでは、ローカル5Gネットワークを体感いただけます。 ラボ内には、Wi-Fi6の環境も構築していますので、ローカル5GとWi-Fi6の違いを同時に体感していただくことが出来ます。
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