QCT製ローカル5GCoreの冗長性試験

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1. QCT製ローカル5Gの機器構成

そもそも冗長性試験を行う前にQCT製ローカル5Gの機器構成を簡単に紹介します。

local5g_0004_01.png

QCT製のローカル5Gシステムはスタンダードプランの最小構成でCoreが冗長化されています。
(LiteプランはCoreの冗長化がされておりません)
Standby状態になっているCoreはホットスタンバイ状態になっている為Active状態のCoreが何かしらの原因でCoreの機能を保てなくなった場合にStandby状態のCoreがActive状態のCoreになります。

この冗長構成ですがセルを重ねることによって冗長化が図れるRANと違ってローカル5Gで最初からCoreが冗長化されているシステムは珍しいと思っています。
そしてローカル5Gを使うようなソリューションを扱う場合Coreの冗長化というのは非常に有用だと考えています。
例えば工場などで遠隔運転を行う台車のようなものがあったとして、Coreが冗長化されていないシステムでCoreが壊れてしまった場合、当たり前ですが遠隔運転が出来なくなります。
そうなるとまず現地工場に台車を見に行って状況を確認して緊急的な対策(現地での操作等)を行って落ち着いたらCoreの処理をして・・・Coreが冗長化されていればとりあえずはStandbyになっているCoreに切り替われば遠隔運転は続けられます。

今回はこの構成で実際にCoreが使えなくなった場合に本当にStandby状態のCoreがActive状態になるのか、どのぐらいの時間でCoreがActive状態になるのかを実験してみたいと思います。

2. 冗長性試験

2-1. ActiveになっているCoreを止めてみる

では実際にCoreを止めてみましょう。
そもそもどのように現在の状況を確認するかというところですが、QCT製のローカル5Gシステムには非常に優秀なEMS(エレメントマネジメントシステム)であるOmniViewが搭載されています。

OmniViewでCore付近の機器を確認したのが下記の図です。
local5g_0004_02.png
5G Core Server1がActiveになっています。
そして5G Core Server2はStandbyの表記になっています。

この状態で実際に機器を止めてみましょう。とはいえ、ただ止めるだけではあまり面白くないのでCoreにあるAMFという機能を止めてみましょう。
実際に運用している時を想定して「もし特定の機能が止まることによってCoreが機能しなくなった場合」、つまり「Coreが止まった場合」を疑似で作り出します。
AMFはどの部分かというと下図のN2という線でRANとつながっています。local5g_0004_03.png
黄色で〇をした部分を機能的に止めてしまおうというわけです。

2-2. 結果

さあ実際にAMFを止めてみたら下図のようになりました。
local5g_0004_04.png
AMFを落として5秒ぐらいするとCore Server1の表記がActiveから(?,Erroneous)に変化し、Core Server2がstandbyからActiveに変更されました。
Core Server2がActiveになってももちろん通信可能です。
local5g_0004_05.png
アラームもしっかり表示されています。

ではこの状態でCore Server1を再起動してみましょう。
すると下図のような状態になりました。
local5g_0004_06.png
(アラームを一旦全部消しています)
Core Server1を再起動した後はServer1がActiveに戻るわけではなく、Server2がそのままActiveになっています。
このまま何もしなければCore Server2がActiveのまま稼働し続け、また不慮の事故でCore Server2に何かあればCore Server1がActiveになります。
つまりCore Server1が絶対Activeになるといったような動きはしないわけですね。

ではCore Server2のAMFも同様に止めてみます。
local5g_0004_07.png
3秒ぐらいで表記が(?,Erroneous)に変更となり・・・

local5g_0004_08.png
すぐさまCore Server1がActiveになりました。
同様にActive状態のCore Serverに接続されているData Swicthの電源を落としてもstandby状態のCore Serverに切り替わります。
再起動からの立ち上がりも3分程度で今回は立ち上がりました。
スムーズなCoreの切り替えと復帰の速さは運用視点からすると非常に安心できる要素になるかと思います。

3. いざという時に安心の冗長化

遠隔運転や自動運転など即時性が求められるサービスにローカル5Gを使用していた際にシステム不調が発生してしまった場合、即時に復旧できるかどうかというのは非常に重要なファクターになると思います。
システム導入の際は是非気にしてみてくださいね。

QCT製のローカル5GシステムであればCoreが最小構成でも冗長化されているので通信を途切れさせない事を念頭にサービスを検討されている方は是非ご相談ください。
当コラムと同様の実験を目の前でお見せすることも可能ですので、一度見てみたいという方も是非ご連絡お待ちしております。