目次
1. sXGPとは
PHSを利用している企業なら聞いたことはあるキーワード『sXGP』
sXGP(shared Xtended Global Platform)は、簡単に言えば、スマートフォンなどで採用されている4G,LTE(TD-LTE)をPHSと同じ1.9GHz帯で利用する通信方式です。
大手通信キャリアが運用しているLTEサービスをWi-Fiなどのように手軽に自営で利用することが可能で、近年ではPHSの老朽化や電波法の改正などから次世代PHSとしても着目されています。
2. sXGPの特徴
sXGPにはいくつか特徴がありますので、簡単にご紹介致します。
2-1. 免許申請が不要
大手通信キャリアが利用しているLTE方式ですが、大掛かりな手続きが必要なのかというと、そういうことはありません。
ローカル5Gのように免許を取得しなければ電波発射ができないという訳ではないので、Wi-Fiのように手軽に無線設備を構築することが可能です。
2-2. 電波の回り込みが優秀
電波の特性として、周波数が低ければ障害物があっても電波の回り込みが優秀で遮蔽に強い通信方式と言えます。逆に周波数が高いほど大容量通信に向いています。
言い換えると低い周波数ほど、「安定性」を重視し、高い周波数ほど、スループットなどの「通信量」を重視することになります。
sXGPについては音声通信で使われることが多いため、比較的大容量である高周波数帯ではなく、安定性のある1.9GHz帯を採用しています。
2-3. SIM認証の為、安全性が高い
無線ネットワークを語る上でどうしても避けては通れないセキュリティ。
Wi-Fiではセキュリティレベルは上がり、様々な対策は取られているものの、MACアドレスの偽装、パスワードの盗み見など、様々な危険性が考えられます。しかしながらLTEではSIM認証が採用されており、無線通信の中でもセキュリティ性については高い部類に入ります。
LTEでは様々なIDや番号が使われますが、その代表的な番号に『IMSI』があります。
IMSIは、加入者の識別番号を指しており、固有の番号になります。
EPCと呼ばれるコアネットワークにIMSI番号を登録することで閉域網内では指定のIMSI番号しか通信できないようになっており、安全性の高い通信が可能になります。
3. sXGPの良さ
sXGPの良さとは何か、その理由を様々な視点からご説明します。
3-1. 移動性に優れた通信
sXGPは通信速度こそ、Wi-Fiに劣るものの、LTEが元々の設計思想に『移動性』が考えられています。Wi-Fiは『定点(特定の位置で利用する)』が 前提となっていますが、その点、LTEにおいては移動しながらでも利用できることを前提に設計されています。そのため音声通話においても切れにくい 無線設計が可能です。
3-2. BCP対策としても有効
sXGPのEPC(コアネットワーク)をオンプレミスで対応することにより、通信障害などが起きたとしても、自営でのネットワークにおいては通信が可能になります。
※ただし、インターネット回線などに不具合があると、インターネットには抜けられません
3-3. 繋がる無線設計ができる
キャリアの電波の場合、場所によっては繋がりにくい、場合によっては圏外ということもあるかと思いますが、その点、sXGPは自営でアンテナを設置するためどの場所でも確実に繋がる無線設計が可能です。
3-4. 干渉に強い
Wi-Fiは利便性としては非常に優れていますが、その分多く人が利用するため、常に干渉の問題を抱えています。各企業としても、通信を安定させるようWi-Fiのアクセスポイントを増やそうとしますが、増やせば増やすほど干渉波が増え、安定しないという事態になりがちです。
その点、sXGPは1.9GHzという専用の周波数帯を利用することにより、常に安定した無線環境を作ることができるだけでなく、高速通信はWi-Fi、安定した通信はsXGPと使い分けをすることも可能です。
干渉を受けにくいという特徴がある為、メンテナンスも少なく、無線設計も容易という面も利点としては大きい点になります。
3-5. 電波到達距離が広い
Wi-Fiは場所や干渉などの環境にもよりますが、屋内だと15m~20mおきなどでアクセスポイントを置くと思いますが、sXGPの場合は屋内でも100mぐらいであれば問題なく使えるため、Wi-Fiに比べても無線機の数は圧倒的に少なく設計することが可能です。
4. まとめ
現在様々な無線の通信方式がありますが、sXGPは通信速度こそそれほどでもありませんが、優れたモビリティ性、安定性など、特に音声に関する通信においては非常に優秀な通信方式です。
次世代のPHS候補としてだけでなく、セキュリティ性の関係でWi-Fiが使えない場所、キャリアの電波が届かない場所などでの利用について、今後も期待されています。
sXGPについて興味がある方、ご相談については是非当社の方へお声がけ下さい