目次
1. 2000年「IT革命」 ─ あの時と今
今回は、当社TechBlogで書いた記事をもとに内容をアップデートし、お届けします。
皆様、覚えていますか? 西暦2000年の流行語大賞は「IT革命」でした。(ちなみに、同時選出は「おっはー」)当時の首相は森喜朗氏。シドニーオリンピックでは田村涼子さんや高橋尚子さんが金メダルを獲得しました。
この年は通信業界にとっても大きな転換点でした。DDI、KDD、IDOが統合しKDDIが誕生。アナログ携帯電話(TACS)が完全に終了し、すべてがデジタルに移行しました。まさに新しい時代の幕開けであり、21世紀に向けて大きな期待が寄せられていました。
そんな2000年、日本でAmazonのサービスが始まりました。当時のAmazonは「ネット書店」にすぎず、販売していたのは書籍のみ。私が初めてAmazonで買い物をしたのは2001年で、CDと本を購入した記憶があります。まだ書籍はリアル書店で買うのが主流で、街の書店も賑わっていました。音楽もCDが主流で、ネット上で物を買うことに抵抗があった時代です。
しかし、それから25年が経ち、Amazonは書籍販売にとどまらず、家電、食品、生活雑貨を販売し、生活に無くてはならない存在となりました。更にはスマートスピーカー「Alexa」、映像コンテンツの配信、クラウド事業「AWS」やAIまで展開し、世界を代表する巨大IT企業へと成長しました。
今年2025年となり、四半世紀前のことを少し書きました。今では「IT革命」という言葉よりも「DX推進」と呼ばれることが一般的です。皆さまの周りでは、革命的な変化はありましたか?
2. 百貨店、最近行きましたか? ─ Amazonとの差を生んだ「デジタル投資」
ではなぜAmazonはここまで成長できたのでしょうか? もし単なる「ネット書店」にとどまっていたら、電子書籍や他のECサイトに押され、衰退していたかもしれません。
その成長の要因は、何よりも「デジタル関連への継続的な投資」です。外部環境の変化(ネット人口の増加、スマホの普及)も影響しましたが、それだけではありません。Amazonは先述のとおり小売りにとどまることなく現状に満足せず、新たな市場を開拓し続けたのです。
一方、日本の小売業界を振り返ると、ここまで大胆なデジタル投資を続けた企業は多くありません。例えば、百貨店が2000年から積極的にネット投資を行い、店舗中心の小売業から脱却してECサービスに移行し、それをもとにクラウドサービスに参入していたら、世界的なIT企業へと進化していたのかもしれません。
3. まだまだ不便? ─ 「デジタル化の理想」と「現実」のギャップ
もちろん日本企業もデジタル化を進めています。2001年にサービスを開始した「Suica」により切符を買う必要がなくなり、更にはSuicaで買い物や食事もできるようになりました。今ではスマホひとつで飛行機の予約・搭乗手続きまで完結。コンビニではQRコードや電子マネーで決済し、ホテルの予約もアプリで完了。財布がなくても旅行ができる時代になりました。
また、会社の勤怠管理もタイムカードからICカードへと変わり、タッチするだけで勤務時間が自動計算されるように。さらには、コロナ禍を経てリモートワークやオンラインミーティングも一般的になりました。
しかし、まだまだ不便な点も多く残っています。例えば、
・手入力による交通費清算
・Suicaのタッチが面倒
・公共交通機関の混雑
・ゴミの分別
・年末調整
こうした問題の多くには、すでに解決策があります。たとえば、
・交通費精算はジオフェンス、位置情報を活用して自動化
・Suicaのタッチレス化を顔認証技術で実現
・ライドシェアサービスで公共交通の混雑を緩和
・AI画像識別技術を活用し、環境に優しいゴミ分別を実現
・マイナンバーを活用し、年末調整の簡素化
更にはこのようなレベルの話しも古くなるような、AIエージェント技術の普及が目前にせまっています。旅行に行く際の鉄道、宿の手配なども、どこに行きたいのかとか予算を入力するだけで全てAIエージェントにお任せし、後はスマホを片手に自動運転のカーシェアリングサービスを使って家を出る---、この様なことも世界的に数年先には一般的になっているでしょう。
これらはすでに実現可能な技術があり、社会的な合意があれば導入も進むでしょう。
しかし、日本社会はこの社会的合意、コンセンサスの形成に大きなエネルギーを投入し、疲弊しているように感じるのですがいかがでしょうか? ここには日本の人口構成の問題など、数多くの要素が影響しているのですが、今回の記事の趣旨からずれますので、次の章にうつります。
4. 変化を恐れるな! ─ 「日本文化」と「デジタルの特性」の違い
日本には「ものを大切にする文化」が根付いています。法隆寺のような歴史的建造物を守り続けてきたことは誇るべきことですし、伊勢神宮の式年遷宮のように古い建物を修理・再建しながら伝統技術を継承しています。私自身、ジーンズを10年以上履き続け、専門店で補修しながら大切に使っています。
しかし、デジタル技術については異なる考え方が求められます。
例えば、iPhoneXは2017年にリリースされましたが、すでに最新iOSへのアップデート対象外です。一方、2003年に開業した六本木ヒルズは、現在でも「新しいビル」として十分な価値を持っています。デジタル技術の進化は、物理的な進化とは異なり、圧倒的なスピードで変化し続けるものです。その変化を恐れず、新しい技術を積極的に取り入れ、進化し続けることが重要です。
5. 「DX推進」は手段 ─ 未来を創る企業の条件とは?
すべての企業がAmazonのようになる必要はありません。しかし、企業の持続的な成長には「継続的なデジタル投資」が不可欠です。
IT革命、DX推進、AI ─ 呼び方は何でも構いません。重要なのは、最新のテクノロジーを活用し、仕事をより快適にし、新たな「価値」を生み出すことです。
直接的な表現にかえると、最新のテクノロジーを使って社会を良くしていく事で、どんどんお金を稼ぐことが資本主義的な価値となり、企業が存在する意味となります。
この記事は私自身に向けてのメッセージのようになってしまいましたが、皆さまのまわりで感じる不便なことや解決したいことはどのようなことでしょうか?その不便の解決に京セラみらいエンビジョンは少しでもお役に立ちたいと考えています。ローカル5Gをはじめデジタル技術を活用した最適なソリューションを提供し、皆さまと共により良い社会の実現を目指します。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。