空間分析がこんなに簡単に! 位置情報データ活用術

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 企業のデジタルトランスフォーメーションが進み、大量のデータが蓄積されるようになっていますが、その中には位置情報を持つデータも存在しています。空間分析は、そのような位置情報を扱う分析手法で、地理的なデータから洞察を得ることができ、ビジネスに新たな視点を加えることが可能です。今回は2025年3月18日(火)に開催した「空間分析がこんなに簡単に! 位置情報データ活用術」と題したウェビナーの内容をご紹介いたします。

空間分析について

 空間分析は「位置情報を持つ空間情報データを用い、分析を行う」と定義できます。
 例えば、店舗の位置や人口のデータを重ね合わせて出店計画を検討するような商圏分析や販売が多く起きているポイントを密度マップ化し、犯罪が起きそうなエリアを特定するようなカーネル密度推定といった分析があげられます。このように地図を使った分析というのは、都市計画、交通、防災分野やマーケティングなど様々な分野で行われています。このような分析を行う際主に利用されるのがGISツールというソフトウェアです。GISツールは様々な空間情報を読み込み、可視化、検索などができるソフトウェアです。

 位置情報を持つデータは様々なものが存在しますが、空間分析はコンピュータを使って行うため、データの種別によって扱いやすいもの、扱いにくいものなどいろいろございます。それぞれの特性に合わせた使い方、用途が存在します。

・地図データ
GoogleMapなど絵として構成されている地図や、空中写真などについては、いわゆる背景地図として使うことができます。一方、地図データの中でも、河川の情報、行政の境界、海岸線、道路、施設の位置情報などポリゴンやライン、ポイントデータなどで構成されるいわゆるベクター地図を構成する各地物については、位置情報と形状を持っており、加工も簡単にできます。

・位置データ
GPSに代表される位置情報は、コンピュータが最も扱いやすいデータの一つです。特に、スマートフォンなどにより簡単に取得できるようになった位置データは広く利用されています。

・統計データ
市区町村などに紐づいた人口、農業、工業などのデータを集計したデータのことをいいます。行政などに紐づくことが多く、紐づいている行政を地図上に表現できるようになっているシステムであれば、地図上への表現は簡単にできます。一方、そのようなものがない場合は、地図上にマッピングするには少し工夫が必要となります。

・顧客データ
顧客データが持つ住所、郵便番号などの情報も空間情報として利用ができます。ただし、住所や郵便番号はジオコーディングを行い位置情報に変換する必要があります。

 これらのデータを使って空間分析を行う上でいくつかの段階が存在します。
空間分析のステップ

まずデータの可視化です。地図上にプロットするだけでも様々な気づきを得ることができます。
次に可視化したデータを重ね合わせて表示します。これにより得られる新たなインサイトもあります。ただ重ね合わせるだけでも様々なことがわかりますし、手軽に行うことができます。
最後に、複数のデータのマッチングを取ったり、集計を行います。これには高度なスキルも必要とされますが、複雑な条件を付けた結果を得ることができます。

次に、空間分析を行う上での必要なステップをご紹介します。それぞれのステップで必要とされる技術が異なります。
空間分析の進め方

まず、分析を行う場合はデータを取得する必要があります。自社内で持つ顧客データ、地理的なデータ、公開されているような公共データなども利用可能です。次に、緯度経度情報を持っていないような住所データはジオコーディングを行って緯度経度情報を付与する必要があります。
ここまでで準備は整うので、実際に分析を行っていきましょう。
地図上にそれぞれのデータをプロットし、マッチングを取ったり、検索を行ったりしてより複雑な分析を行っていきます。
その後、分析結果を地図上に整理してレポーティングを行っていきます。
ジオコーディングでは、APIなどを利用して行う必要がありますし、分析はGISツールを使っていきます。最後のレポートについては、引き続きGISツールを使うか、BIツールを用いてレポーティングを行います。APIとの連携やGIS・BIツールを使いこなすためには技術的な知識が必要になってきます。

GISとは?

 ところで、GISという用語が何度も出ていますが、どのようなものかご紹介します。GISは、「Geographical Information System」の略で、日本語で「地理情報システム」と訳すことができます。これをさらに具体的に言い換えると、「地理情報や付加情報を、コンピュータ上で作成・保存・利用・管理・表示・検索するシステム」ということになります。
これを行うためのソフトウェアとして、GISツールと呼ばれる専用のツールが販売されています。いずれも高価で様々なことができますが、若干難解なソフトとして知られています。主なものとしては、EsriのArcGISが世界的によく使われています。その他、有償のMapInfo、無償で利用できるオープンソースのソフトとして、QGISなどもよく使われています。その他、簡易的なソフトとして、GoogleのGoogleEarthや、フリーソフトであるカシミール3Dなどもよく使われます。しかしながら、基本的に高機能ですが、操作は難解なものとなっています。BIツールでも地図表示機能を持っており、地図を使った表現が可能ですが、データの表示のみであったり、地理空間分析も非常に限定的なものに縛られているものが多いです。
 高度な分析ができるGISツールですが、いくつか課題も持っています。高度で複雑な処理ができる分、わかりにくい部分があります。また、各処理は単発で行っていきますが、一連の処理を自動化しようとすると、プログラミングが必要となるものが多いです。
また、データ準備の工程では、Excelなどでデータの整備を必要とすることが多く、GISツールで加工したあと、また再びExcelで処理を行うことも多いです。つまり、ExcelとGISをいったり来たりして作業することが多く、これは効率が良いとは言えません。
そこで専門的な知識がなくても空間分析を実施し、データを一元で管理して処理するツールとして「Alteryx(アルテリックス)」をご紹介します。

Alteryxでは直感的な操作によるGISタスクの効率化が可能

「Alteryx」はデータ準備から予測分析、GISツールができるような空間分析まで可能なソフトウェアです。GUIを使った操作により、直感的にデータの加工を行うことができ、行ったデータ分析のフローは再度利用が可能です。

Alteryxの空間分析機能のご紹介

 Alteryxは、元々空間分析のコンサルの方が使うツールから発展しており、GISツールで行うような空間関連の分析タスクを実行することが可能です。それだけではなく、収集したあらゆるデータを読みこむところから、外部のAPIを呼び出す必要のあるジオコーディングなども行うことができます。

Alteryxが空間分析でできること
Alteryxが適用可能なタスクは、最初のデータを収集の部分以外となります。
ジオコーディングについてはAlteryxで外部APIを呼び出すことが可能です。読み込んだ住所リストに対して外部のAPIを呼び出し、住所を緯度経度に変換したものをそのまま利用することが可能です。
分析の部分についてはAlteryxの豊富なGIS機能を利用可能です。GISツールが持つ空間オブジェクトの加工、検索、マッチング機能を利用することができます。
レポーティングについては、地図へのプロット機能を持っており、表現したい形に落とし込みPDFなどのレポートに出力が可能です。もしくは、インタラクティブな表現を行いたい場合は、BIツールやGISツールへのアウトプットを行うことになります。

さらにAlteryxはわかりやすいGUIが特徴です。
属人化を解消

各機能はアイコンの色と形で処理内容を示しており、これにより視認性が良くなっています。また、データの流れがラインで可視化されており、処理の追加や削除も簡単に行なうことができます。
また、GISツールはGISの処理を行うたびに新しいファイルを作りながら分析を進めていくような形になっており、何をどうしたかという処理の手順を明確に残すような作りになっていないものが多いです。いわばスポット的に各処理を進めていくため、再現性という点に難があります。この点に置いて、Alteryxは明確にどのような処理を行って来たか、というのが形で残るのがGISツールに比べての大きな利点となります。

導入事例

 Alteryxは誰でも活用が可能なツールです。GIS機能を使ったような事例はそれほど多くはなく、通信の基地局位置選択や公共の非常事態対策などの分野で一部取り上げられていますが、例えば小売の出店計画の検討や施設のメンテナンス、マーケティングなどでも利用可能です。特にこのAlteryxのGIS機能はGISツールから乗り換えることでかなりの工数圧縮に繋がっている実績がございます。
ここでは通信事業者様向けのレポート作成業務の事例をご紹介します。
通信業界ではGISを含むタスクが多く含まれており、従来はGISツールなどを活用しながら手作業で業務を進めておりましたが、Alteryxを導入することでかなりの工数を削減することができました。

事例

新しい基地局のアンテナを建設する際、電波がどれくらい飛ぶのかというシミュレーションを行いますが、この作業自体は専用のツールを使って行われます。しかしながら、ツール内のデータを最新に保つ必要があり、このデータの更新やレポート対象の基地局の特定などのGISタスクを自動化することで、準備等にかかっていた時間を大幅に削減できました。様々なデータを読み込みブレンディングし、GISタスクを行いながらデータの準備を行っていく部分のかなりの部分を自動化でき、効率化することができました。また、全体的に作業時間に余裕ができたため、ミス自体が減り、たとえミスがあってもリカバリが容易になったという効果が出ております。

おわりに

 空間分析は「位置情報を持つ空間情報データを用い、分析を行う」ことであり、これにより有用な知見が得られますが、一方で、GIS処理を行うGISツールは難解である、というお話をさせていただきました。
これに対して、Alteryxは、データ準備、ジオコーディングからGIS機能までオールインワンで備えており、直感的に操作でき、自動化が簡単という特長を備えております。
また、Alteryxは、学習コストが低く、ノーコードでデータ処理、分析ができ、すべての人が分析をできるようになります。これによって、データドリブンカンパニーへと飛躍し、みなさまの組織の発展に貢献できると確信しております。

資料では詳細な空間分析の方法や活用例をご紹介していますので、是非ご確認ください。