マーケティングDX:GA4、サーチコンソール、CMSのデータを一挙に集約。Webサイトの解析業務改善 Alteryx編

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はじめに

Webマーケティングにおいて、データ分析は必須であり、サイト改善のPDCAサイクルを回すことは欠かせない要素です。

ですが、分析に必要なデータは複数の場所に分散しています。たとえば、訪問前の検索流入キーワードや表示回数、クリック数などはGoogleサーチコンソール(以下サーチコンソール、ユーザーのサイト訪問後の行動やイベントデータはGA4(Google Analytics4)、コンテンツ情報(カテゴリ、公開日、著者など)はCMSと、それぞれ異なるツールに格納されています。

私たち京セラみらいエンビジョン デジタルマーケティング部でも、自社運用のコーポレートサイトやオウンドメディアのTechBlogのアクセス解析のために、まずはデータ収集を行い、収集したデータを統合・整理し、表やグラフにしてわかりやすく可視化、さらに報告用としてPowerPointで解析資料にまとめています。
各ツールからデータを手動で抽出して、ExcelやGoogleスプレッドシートに関数を駆使して統合するという作業は、大変非効率ですが、分析するために必要な過程のため月初に必ず行うルーチン作業です。

さらに、この複雑なデータ収集作業は特定の担当者に依存していたため、その人が不在時には資料作成が停止する、また作成のノウハウは属人化してしまうリスクも抱えていました。
つまり、この分散データの収集・統合作業は、時間と労力の浪費だけでなく、データの整合性や分析の精度にも不安要素を残し、迅速な意思決定を妨げ、Webサイトの改善機会を逃す、または先延ばしにする要因でした。

このような状況を早急に改善することは、デジタルマーケティング部Webマーケティング担当者の最大の課題だったのです。

本コラムでは、私たちが実践したマーケティングDXの取り組みとして、セルフサービス分析プラットフォーム「Alteryx(アルテリックス)」を活用した分散データソースの集約によってもたらされた効率化の内容をご紹介します。

これまでの課題

Webマーケティング担当者が直面していた課題は冒頭で述べましたが、よくある非効率な作業を簡潔にまとめると、以下のようになります。

煩雑なデータの収集

・GA4の探索機能に設定したデータをCSVでエクスポート

・サーチコンソール(その他SEOツール)で、検索パフォーマンス※1をエクスポート
※1 検索流入キーワードや表示回数、クリック数、検索表示順位

・CMSの記事情報(公開日や執筆者など)を、サイトから目視で取得

Excel地獄による統合作業

・VLOOKUP関数の複雑な突き合わせ作業

・日付やURLなど、データ形式の不一致によるエラー

・コピー&ペーストの間違いなど単純な人的ミス

・データ更新のたびに同じ作業の繰り返し

分析業務への影響

・データの整合性が取れない

・リアルタイムでの分析が困難

・戦略立案の時間不足

・課題改善施策の取り組みや効果測定の遅れ

データ統合ツールとしてAlteryxを選んだ理由

なぜなら、社内から「Alteryxを使ったらいいのに」というアドバイスがあったからです。

当社は、もともと自社の別の業務でAlteryxを活用する一ユーザーでした。その活用の過程で、Alteryxの機能や操作性の高さ、また複雑なデータの正確な処理能力を実感し「これほど優れたツールは、日本の多くの企業に必要とされるだろう」という確信から、現在ではAlteryxの正規販売代理店として、日本国内での普及に務めています。
今回、私たちデジタルマーケティング部が直面していた課題について、当社在籍のデータサイエンティストに共有し、どのようなツールが最適か相談したところ、Alteryxの長年の利用実績と深い知見を有する彼らの回答が「Alteryx」でした。

では、Alteryxとはどのようなツールなのでしょう。

Alteryxは、プログラミングの専門知識がない人でも、データの収集から加工・統合、出力など、データ活用に必要な一連の作業を直感的に行うことができるツールです。
例えば、通常はプログラミング言語を使って数十行のコードを書く必要がある複雑なデータ処理も、Alteryxでは用意されているアイコン(機能)をドラッグ&ドロップしてつなぐだけで完了します。これにより、誰でも高度なデータ準備や分析を、簡単かつ迅速に実現できます。
つまり、ノーコード・ノンプログラミングで、誰もが気軽にデータ活用を始められ、まるで熟練のデータサイエンティストのように高度な分析ができるようになるのです。

Alteryxが選ばれる5つの理由

では、本当に熟練のデータサイエンティストのように高度なデータ処理が実現できるのでしょうか。
実際に使用してみると実感できる、Alteryxの優れた特徴をご紹介します。
データ活用の最適なツールとして選ばれる理由はここにあるのではないでしょうか。

1. 視覚的なワークフロー※2設計

 直感的な操作(アイコンのドラッグ&ドロップ)で、フローチャートのように、データ処理の「収集 → 加工 → 統合 → 出力」を設計。複雑なデータ処理の全体像が一目瞭然です。

(図1) Alteryxの「ワークフロー」設計時の操作画面のイメージ

alteryx-vol0008_img01.png

※2 Alteryxの「ワークフロー」について:
  データ準備・分析の際に作成したツールの設定・組み合わせをファイルとして保存したものです。ワークフローを実行したときのデータソースに応じて最新の結果がいつでも得られます。

2. 豊富なデータコネクタ

 GA4はもちろん、各種データベースに標準対応。標準対応していなくとも、ネット上のデータについては柔軟にカスタマイズ※3することで対応が可能です。
※3 サーチコンソールやCMS(WordPressなど)のデータ接続

3. ノンプログラミングで高度な処理

 URL正規化、日付統一、重複除去、欠損値補完、統計分析まで、すべてプログラミングなしで実現できます。

4. 優れたスケーラビリティ

 数万行から数千万行まで、同じワークフローで高速処理が可能です。

5. データ処理業務の自動化

 一度構築したワークフローは「実行」ボタン一つで結果を得られます。自動実行の設定も可能なため、日次・週次・月次など、定期的に行うデータ処理を自動化できます。

(表1) Excelとの比較

項目 Excel Alteryx
視覚的設計
(設定した数式を数式バーで確認)

データ統合
(関数を使用してファイル統合)
大量データ処理 ×
(行数制限・処理速度の低下)
自動化
(マクロで設定可能)
学習コスト
(マクロ習得は高)
低〜中

導入時の懸念事項

導入に際し、いままで触れたことのないツールをいきなり使い始め、使い慣れているExcelよりも工数を減らすことができるかどうか、またAlteryxを使いこなせるスキルが習得できるかどうか不安がありました。ノーコード・ノンプログラミングといっても、やはりワークフローの構築は手間取るのでは、という懸念もありました。

ですが、それらを払拭することができたのが、Alteryxの無料トライアルです。無料トライアル中に、Alteryxの画面や操作に慣れ、私たちが必要としているデータ処理をワークフローで構築できそうか機能を確認することで、導入の検討ができました。
また前段でお伝えした通り、当社はAlteryxの正規販売代理店ですので、不明な点について、すぐに質問できる環境があります。
実際の導入時には、手とり足とり懇切丁寧なAlteryx担当者のサポートとともにワークフローを完成させることができました。
また毎週、社内のAlteryx使用者向けに勉強会が開催されているため、ここで理解を深めていくことができます。

ちなみに、これらのサポートやトレーニングは、当社のお客様にも提供させていただくことが可能※4です。
※4 運用支援は、導入前・導入後や無償・有償などお客様のご要望また環境に応じて、サポートやトレーニングをご用意しております。

明らかに実感できた導入効果

作業時間の短縮

Alteryxを導入することで実感できた効果は、圧倒的な作業時間の短縮です。解析資料作成までに毎月発生していた作業時間を、約90%減少させることができました。数日かかっていた作業が、数時間で完了できるようになったのです。

(図2)Alteryxの導入効果イメージ

Before(手動): 週20時間/月(データ取得4時間 + データ加工8時間 + データ可視化8時間)、 After(Alteryx): 週2時間/月(実行0.5時間 + 確認1.5時間)、 導入効果: 90%減/月(週18時間の節約)

もう一つ、重要な効果をもたらしました。毎月異なるデータソースから大量のデータを収集・加工・統合という「憂鬱」に感じていた作業から解放されたことで、データ解析へのモチベーションが向上したことです。単調な繰り返し作業に疲弊しつつ費やしていた労力を、本来の目的である分析の時間に充てることができるのです。

さいごに

私たちのマーケティングDXの取り組みである、Alteryxを活用したWebサイトの解析データの統合は、単なる作業工数の効率化を超えて、データドリブンな意思決定を支える重要な基盤となります。
GA4、サーチコンソール、CMSのデータ統合により、これまで見えづらかったユーザー行動のインサイトを発見し、より効果的なWebマーケティング戦略の立案を可能にする第一歩です。

実際、手動でのデータ集約作業から解放されたことで、本来注力すべき戦略立案や課題改善施策の取り組みにより多くの時間を割けるようになりました。また、データ収集業務の属人化リスクも解消されるため、今後、安定した分析業務の継続が可能になります。

日々、手作業でデータ収集・統合し、表やグラフを作成、レポートを提出する時間に悩まれている皆さま、マーケティングDXの第一歩として、Alteryxによる解析業務改善を検討してみてはいかがでしょうか。

次回は、このAlteryxを活用したデータ集約業務の改善からさらに踏み込み、統合したデータを可視化、レポート作成業務効率化の取り組みについて紹介させていただきます。





「Alteryx(アルテリックス)」は、Alteryx, Inc.の商標または登録商標です。
※ 「GA4」「Google Analytics」「Googleサーチコンソール」「Googleスプレッドシート」は、Google LLCの商標または登録商標です。
※ 「Microsoft Excel」「PowerPoint」は、米国Microsoft Corp.の商標または登録商標です。
「WordPress」は、WordPress Foundationの商標または登録商標です。
その他当サイトに掲載の製品・サービス名および会社名は、各社の商標または登録商標です。




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