目次
1. 国土強靱化基本計画が掲げる通信の意義
政府が策定した「国土強靱化基本計画」では、社会インフラの強靱化が幅広い分野に及んでおり、情報通信分野も重要な12分野の一つとして位置づけられています。この計画では、災害時の情報収集・分析や避難誘導支援などに、ICTを積極的に活用する方針が示されています。
さらに最新の「国土強靱化実施中期計画(2026〜2030年度)」でも、
● 防災インフラの整備・管理
● ライフラインの強靱化
● デジタルなどの新技術活用
が主要施策として掲げられており、エネルギーや交通と同列で通信ネットワークの強靱性確保が国家レベルで求められるようになっています。
このように、通信は単に「つながる」ための手段ではなく、災害対応・復旧・平時の地域運営まで一体的に機能する社会基盤として、国や自治体の政策に位置づけられています。
2. 災害時に顕在化する"情報格差"と地域課題
しかし現実には、「通信環境が不十分な地域」と「十分な地域」の間で情報アクセスの格差が広がっています。特に中山間地域や過疎地では、地震や豪雨で事業者回線が途絶した際、住民や拠点が必要な情報にアクセスできないことがあります。
情報格差は、以下のような深刻な影響を及ぼします:
● 避難情報や支援情報が届かない
● 救援隊との双方向コミュニケーションが成立しない
● 被災状況の把握に時間を要する
これは単なる不便さではなく、災害対応の初動に大きな影響を与え、地域住民の安全・安心を損なう可能性があります。
国土強靱化計画でも、災害時の情報集約・発信の重要性や、ICTを活用したリスクコミュニケーションの強化が明記されており、デジタルデバイドの解消は政策課題としても重要視されています。
3. 自治体インフラとしてのローカル5Gの価値
ここで注目したいのが、自治体が自ら構築できる通信基盤であるローカル5Gです。ローカル5Gは高速・低遅延で広帯域の通信が可能なだけでなく、自治体自身が運用ポリシーを管理できる閉域型通信基盤です。
さらに防災の観点では、「無線であること」自体が大きな価値を持ちます。
災害時には、地震や土砂災害、水害によって光ファイバーや有線網が物理的に断線するケースが少なくありません。一方で無線通信は、こうした地中・地上設備の被害を受けにくく、通信手段を維持できる可能性が高まります。
また、基地局を設置することでエリアを構築できるため、総務省との調整の上、被災後の臨時エリア整備や、仮設拠点での通信確保にも柔軟に対応できます。
これにより、
● 災害対策本部 ↔ 避難所のリアルタイム映像共有
● ドローン映像による被害範囲の把握
● 避難所や救援拠点の安定通信確保
● 地域医療連携・遠隔診療の強化
といった用途が実用レベルで可能になります。
国土強靱化計画の方向性にもある「情報収集・分析体制の強化」や「リスクコミュニケーションの多様化」は、まさにインフラとしての通信基盤が確立してこそ実現できるものです。ローカル5Gは自治体が専門家や企業と連携することで、事前に災害時の通信環境を"つくり"、災害発生時に"機能させる"基盤になり得ます。
4. 自治体導入の壁とその克服ポイント
ただし、ローカル5G導入には現実的なハードルがあります:
● 導入コストと予算化
● 運用ノウハウの不足
● 優先度の位置づけ
日常業務の通信は既存回線で事足りるとの認識から、"災害時にも機能する通信基盤"という視点が浸透しにくいという面もあります。
これらの壁を克服するためには、
● 国の補助・交付金制度の活用
● 通信ベンダーや周辺企業とのパートナーシップ
● 自治体間での共同運用モデルの検討
などが有効です。
国土強靱化計画では官民連携の強化が掲げられているため、自治体が単独で取り組むだけでなく、国・民間事業者と連携したマルチステークホルダー戦略が推進されています。
ローカル5Gは単なる"高速通信"ではなく、「必要な場所に確実な通信を届けるための選択肢」として利用できます。
5. 国土強靱化の"次の段階"としての通信強靱化戦略
通信は「通信事業者が提供するサービス」という枠から、自治体の社会基盤として位置づけられるべき時代に入っています。
国土強靱化計画で掲げられる防災インフラ整備・減災・迅速復旧の実現には、物理インフラと同様に通信強靱化が不可欠です。
特に無線のメリットとして、
● 断線リスクを低減できる通信手段
● 被災後も再構築しやすい柔軟性
● 移動・仮設運用にも対応できる拡張性
を持つ点で、防災インフラとの親和性が高いと言えます。
ローカル5Gは
● 災害時にも機能する自立的通信基盤
● 災害対応・復旧シーンで情報格差を縮める仕組み
● 平時の地域サービス向上にも役立つ基盤
として、自治体の取り組みに加える価値ある戦略です。
通信を「要る・便利だ」と思われるだけではなく、「止まってはならないインフラ」として設計すること。それが、これからの国土強靱化時代に求められる自治体のICT戦略です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
京セラみらいエンビジョンまちづくりラボ

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