Sub6とミリ波 ~ミリ波導入の壁~

  • ローカル5G

最終更新⽇:

掲載⽇:

1. 5Gの整備状況

総務省の発表によると、令和4年度末時点の5Gの整備状況は人口カバー率96.6%と、モバイルキャリアでの5G普及は人口密集地以外へのエリア拡大、不感地帯の解消や、トラフィックの改善などへと進んでいくのではないかと考えられます。

その一方で、その内訳を見てみると、ミリ波の人口カバー率は0.0%という結果になっています。

ミリ波の人口カバー率が低いことについて以前のコラムでも触れましたが、高い周波数では直線性が高くなるため、その結果エリア範囲が狭くなってしまうという理由もあります。
しかし、それ以外にも重要なポイントがありますので、今回はそれについて説明をさせて頂こうと思います。

2. ミリ波導入のハードル

まず結論を書いてしまうと、ミリ波だけでは5Gを構成できないことから、他の周波数帯の設備が必要となるため、導入コスト、構成の複雑化だけでなく、5Gの特性を充分に生かせない可能性まであります。

5Gや4Gの移動体通信では、無線ネットワーク部分(RAN)だけではなく、加入者の認証や通信の制御などを行うコアネットワークが必要となりますが、RANとコアネットワーク間の通信は制御系通信と、ユーザトラフィックに分けられます。そしてそれぞれ接続を行いますので種別として、制御系通信を扱う領域は、Control Plane(C-Plane)、ユーザトラフィックを扱う領域は、User Plane(U-Plane)と呼ばれています。

ミリ波では、このうちのU-Planeのみを扱うため、C-Planeを扱う別の周波数帯のRAN(アンカーバンド)が必要になるためミリ波以外の設備も必要になるということです。

local5g_0007_01.png

ちなみに、日本ではミリ波はSub6よりも早く制度化されましたが、この時はアンカーバンドに4Gを使用するということが前提でした。
しかし、アンカーバンドが4Gである場合はその4Gを扱えるコアネットワークも4G用のものが必要となるため、5Gのコアネットワークにより実現する機能や、高速化の恩恵は受けられないという状況です。

また、Sub6が制度化された後も端末側のRFシステム(チップ)が、Sub6をアンカーバンドとして利用するデュアル・コネクティビティ(DC)への対応が遅かったこともあり、弊社でのミリ波での検証や実証実験では4Gをアンカーバンドに用いたものでした。

local5g_0007_02.png

現在では、DCに対応したチップも出てきたため、アンカーバンドをSub6としたミリ波対応の端末もハイエンドのものから順次対応していくのではないかと期待しています。

3. まずはSub6から

ローカル5Gを検討されている方は「ミリ波が本命」というような内容をご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、アンカーバンドを必要としているため、まずはそのアンカーバンドの候補としてSub6を導入し、仕様端末の数が増えたりして通信トラフィックのオフロードを検討する必要になったタイミングで、ミリ波をそのシステムに追加することを検討することが良いのではないかと考えております。

弊社ではSub6のシステムとしてRANからコアネットワークまで同一ベンダで賄うことが可能なQCT社のシステムを取り扱っております。
また、導入へのハードルを下げるためのサブスクリプションプランや、導入支援サービスなど導入時のお客様の負担を少しでも軽くできるよう取り組んでおります。

「導入したいけど大変そうだ」などとお考えになっている方も是非お気軽にご相談下さい。



本記事で紹介した製品・サービスの詳細は、各製品ページでご案内しております。

▸ローカル5G 導入支援サービス
▸サブスク5G


お役立ち資料

▹Sub6/ミリ波の詳細と今後の拡張性について