データ活用スキルアップ講座を通して、基本的なExcel業務の効率化からBIツールを用いたデータの活用方法まで、身近な業務から大きな視点まで、シリーズを通してデータ活用の流れをご紹介いたします。今回は2024年11月19日(火)に開催した第1弾!「脱Excelで始める業務効率のはじめ方!」と題したウェビナーの内容をご紹介いたします。
Excel業務の現状と課題
現在、Excelは多くのみなさまが利用されているかと思います。データの集計や処理をExcelやExcelマクロでおこなっていたり、そもそもデータの管理もExcelで行っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、データをデータベースで管理するようになっていても、そのデータを利用する際にExcelファイル、CSVファイルで出力しその後加工して利用するということもあると思います。各種データから企業活動で必要とされる様々な資料の作成を行う必要があるという方は、このデータ加工、資料作成の効率化というのが課題としてあるのではないでしょうか。
とはいえ、一口にDX化、効率化といっても様々な切り口があります。まずは、会社全体の効率化についてお話しして、その後に今回のExcelに関するお話をご紹介します。
まず、従来のビジネス環境を見ていきます。従来のビジネス環境では、各部門の方が、それぞれの作業を時間をかけて行う形式になっています。
まずデータ入力です。直接接続できないシステムであったり手書きの書類や印刷された請求書等から、手入力でExcelファイルなどにデータを入力します。データベースなど他の様々なシステムを使っている場合は、一度Excelファイルに出力をしてデータを使うこともあると思います。次に、これらのExcelファイルを人が手作業で分析したりグラフを作ったりという作業を行い、実際に業務で使用する形に整えていきます。最終的に作成されたデータや書類を用いて意思決定をしていくという流れです。従来のビジネスは、様々な形態でデータが点在しています。
このような従来のビジネス環境において、DX化を行うと、どのようになるか見ていきます。
まず、直接接続できないシステムや紙の資料についてはRPAを使った自動化が考えられます。RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)の略で、ロボットによって業務を自動化できるシステムです。操作画面上で仕事の流れを一度登録すればロボットがその業務を代行してくれるため、一定のルールにしたがって繰り返し行う業務との相性がよいといわれています。複数のシステムのデータを統合したり集計する場合は、ETLツールが効果的です。ETLツールとは、組織に散らばっているデジタルデータを集めて、用途に応じて変換・加工(Transform)したうえで、その先にある格納先に有用な情報として配信、格納するツールです。最後に、作成・分析されたデータをBIツールによって人が判断しやすいよう可視化します。BIツールはビジネス・インテリジェンスツールの略で、膨大な量の情報、データを効果的に分析し、意思決定と課題解決を支援してくれるツールです。
最終的にはDWH(データウェアハウス)にデータをまとめ、BIツールで統合されたデータを読み込むことで自動的に経営者のみなさまのお手元にいつでもキレイに可視化された最新の資料が届きます。
それぞれのポイントで効率化の手法がありますが、今回はDX化・効率化への第一歩として、Excelを使用している業務の効率化をご紹介します。
実際にExcelを使用する業務の課題について見ていきます。効率化では、Excel業務での業務時間の短縮や人員の削減といった目的以外にも、これから上げるような課題を解決していくことが大切です。
Excelを使用する業務の課題
・複数人での同時編集、保存が難しい
Excelは複数人でアクセスすると、読み取り専用の閲覧モードになってしまい、データの保存ができなくなってしまい、順番待ちが発生してしまいます。共有機能自体はありますが、データの上書きや編集内容の競合が起こってしまうため注意が必要です。
・最新ファイルがどれかわからない
組織の中でファイルの命名規則が決まっていない場合に起こります。同じ名前で日付の異なるファイルが複数存在して、どれが最新かわからない。個人がファイルを管理しており、担当者に聞かないと最新のデータがわからない、といった問題です。
・フォーマットがファイルによって異なる
同じようなデータを扱っているExcelファイルなのに、担当部署や管轄地域によって列の名前や扱う値の単位が異なることがあります。例えば全国のデータを扱っているような会社で、西日本と東日本でファイルの中身が事なる、という事がありがちです。
・作業の煩雑化、コスト増大
Excelを利用して業務を定めた場合に起こりがちです。Excelを使用して業務を進めて行く際、色々な例外処理が発生して細かい確認ルールが大量発生してしまう、というような状況です。経験や過去の事例から省略できる部分もルールとして実施しなければならず、結果的に業務量が増えてしまった、ということもあります。
Excelでの手作業を減らすためよく使用されるのが、Excelマクロです。複数の作業を記録できるため非常に便利なExcelマクロですが、課題もあります。
Excelマクロの課題
・業務のブラックボックス化、属人化
ボタン一つでたくさんの事をしてくれる、いわゆる神Excel、神マクロと呼ばれるものがありますが、蓋を開けてみるとマクロの作成者しか内容をわかっていない、という状況です。またそこまでいかなくても、多くの場合マクロは個人個人が作成するため仕様書が存在せず、担当者しか処理の内容がわからない、後任者に引き継いだもののマクロの知識が追い付かず、メンテナンスができずにブラックボックス化してしまう、ということが起こりがちです。
・ファイルのサイズ拡大による作業速度低下
Excelのファイルサイズが大きくなったり処理が複雑になっていくと、作業速度が低下して、マクロを実行してから何十分も待ち時間が発生する、という問題です。また、その待ち時間の間に別の作業をしようとしても、PC自体が重くなってしまい、作業ができないこともよくあります。
・コンプライアンス
マクロの中で読み込んでいている顧客データや機密情報等の取り扱いが、コンプライアンス違反となってしまっていた、という問題です。基本的に新しく作成するマクロでは発生しませんが、ブラックボックス化しているマクロをよくわからないまま使っていたら、気づくと読み込んではいけないデータを使用していたという危険性があります。
Excelマクロでも自動化は可能で、非常に便利ですが、さまざまな課題も抱えています。将来的にExcel以外でも、会社全体で足並みをそろえて効率化を進めていくため、今回はより汎用性の高い外部ツールを使って効率化をすることを考えていきたいと思います。
業務効率化の流れ
業務効率化には大きく分けて4つのステップがあります。
①業務の洗い出し
業務の洗い出しをします。これは既存にどんな業務があるかをリストアップをしていく作業です。Excelを使用している業務をリストアップし、ここから、効率化する業務を選定していきます。
②効率化する業務・範囲の選定
優先度、複雑さ、業務時間等、基準を作って洗い出した業務を比べ、効果が高いところから効率化を行っていきます。選定の基本として、小さい労力で大きな効果が見込める業務から取り掛かっていくと、効果が出やすくなります。リストアップした業務を週の業務時間、処理の複雑さ、その他部署異動等で総合的に判断して優先度をつけていきます。
③業務の手順、処理の明確化
業務の手順処理の明確化を行います。これは現在実際に行っている手順と、ブラックボックス化してしまっている処理の明確化です。ブラックボックス化してしまうと、内部統制の業務プロセス統制においても、マクロによりブラックボックス化された処理内容を調査し検証するのには労力がかかります。そうなる前に、処理を明確化して資料に残しておくこと、または今回のように、属人化しにくい別ツールでの処理の置き換えを行うことが大切です。
またこの際、現場で不要な手順処理がないか精査しながら進めていきます。例えば、関数やマクロの作成当時は必要な工程だったものの、それから数年たった現在では不要となっている処理だった、という事がよくあります。他にも、現状使っているフォーマットはそのままでいいのか、将来データベース化したいのであれば、値の持ち方は今のままでいいのかなどを考えていきます。
④効率化ロジックの作成
実際に効率化を行っていきます。今回はETLツール「Alteryx」で効率化をしたいと思います。
Alteryxはプログラミングの知識なしに自動化ロジックを作成できます。また、アイコンベースでワークフローを作っていき、データの流れも可視化されるため非常に処理の内容がわかりやすいため、将来的にデータの準備だけでなく高度な分析を行いたい場合も、Alteryxのみで完結できます。このことから、だれでも使えるツールとして属人化を防ぐことができます。
また、多岐にわたるデータを扱うことができます。ExcelやCSVなどの基本的な拡張子はもちろん、多種多様なデータベース、Box,SF,Sharepointなども対応しています。処理の速さも特徴の一つです。Alteryxはインメモリ処理により高速処理が可能です。このインメモリ処理というのはメモリにデータを読み込んで一気に処理するということです。ExcelのVBAなどと比べると何千倍も高速に動作します。
Alteryx Designerのご紹介
AlteryxDesignerは、ローカルのPCにインストールして利用するソフトウェアです。これを使って、みなさんお持ちの様々なデータ、CSVファイルからデータベースまで接続を行います。今回は既存のExcel業務の効率化としてデータ処理についてを中心にお話ししますが、さらに応用として空間分析や機械学習モデルを使ったような予測分析などまで、様々なデータ分析を行うことも可能です。最終的には、BIツールやレポートなどの形で得られたインサイトを共有していく、というのが一連の流れです。
Alteryx Desingerは特長としてGUIを用いたわかりやすいインターフェースが採用されており、ノーコードでデータ処理・分析を行なうことができます。このデータ処理・分析を行なうことをワークフローを作成する、といった言い方をしております。これを使用することでExcel業務の課題であった、作業の煩雑化とブラックボックス化を解消して業務効率化を行うことができます。
おわりに
脱Excelで始める業務効率化として、Excel業務の課題とAlteryxをご紹介させていただきました。
資料では解決策について具体的にご紹介していますので、是非ご確認ください。