製造業の現場で「データ活用」の重要性が叫ばれる一方で、多くの企業がExcelやAccessによる属人化、処理の限界、そしてデータのブラックボックス化に頭を悩ませています。『このデータを活用できれば...』と改善の必要性を感じながらも、具体的な一歩を踏み出せずにいませんか?
本記事では、2024年9月に開催されたウェビナーの内容を基に、これらの課題をAlteryxで解決し、製造業のデータ活用を加速させるためのロードマップを提示します。京セラみらいエンビジョンが培ってきた知見と、Alteryxの強力なデータ処理能力を組み合わせることで、運用の属人化を解消、そして品質データ分析の精度向上といった具体的な成果へと繋げることが可能です。ツールの選定から導入、運用、そしてその先のDX推進まで、弊社がどのようにサポートできるのか、実際の事例を交えて詳しく解説します
Excel/Accessを取り巻く問題
最初に社内の業務で起こりがちなシナリオを考えてみたいと思います。
まず、簡単な集計作業を依頼されるところから始まります。最初はとりあえずパソコンに入っているExcelで集計作業に着手します。その後、追加で処理を依頼されて処理が複雑になっていきます。この集計作業は、毎月依頼されることがわかったので、効率化のためにマクロ化しました。
データ量が増えてくるとExcelでは対応できなくなりAccessに乗り換えますが、やはりExcelも手放せません。そのまま運用していると突然人事異動があり、作業の引き継ぎを行い当初の担当者はいなくなったとしても、処理は継続しますし、その後も追加処理は発生するでしょう。
これはありがちな業務のシナリオではないかな、と思います。
ここに隠れている問題をあげていきたいと思います。まず作業しはじめの手作業について、人間ですからどうしてもミスが発生することがあります。マクロ化は、自分自身が使用する想定だと仕様書など細かく記録として残すことは少ないかと思います。コメントすら残さないかもしれません。引き継ぎについては、丁寧な場合はドキュメントもあるかもしれませんが、操作手順書のみの引き継ぎで終わることも多いかと思います。さらに、追加の処理が手作業の場合もミスが発生する可能性がありますし、処理内容の中身が詳しくわかれば現状のツールに組み込むこともできたかもしれません。全体的な話でいくと、属人化している、といっていいのではないかと思います。
実際のExcel/Access業務を踏まえて課題を整理すると「属人化」「ツールの仕様」「データフローの見通しの悪さ」「自動化の高いハードル」の4つに分類できるかと思います。
それでは各問題についてなぜ起きているのか個別に見ていきたいと思います。
Case1:属人化
マクロができる人に作業が集中した結果、その後人事異動などで作業担当者がいなくなりメンテナンスができなくなる、という事象が多いのではないでしょうか。Excelユーザーの内、AccessやVBAによる効率化を行ったことがある人は少ないかと思います。Excelより複雑な知識が必要なため、社内でも人材の確保が課題となり属人化が発生してしまいます。
Case2:ツールの仕様
Excel/Accessは大量のデータ処理用途で作られたものではないため、そもそも大量のデータ処理業務には向いていません。また、ソフトの設計が古く、現状のハードウェアの性能を活かしきれていないと考えていただいても差し支えないかと思います。
Case3:データフローの見通しの悪さ
これはツールの性質や運用に伴う問題ですが、Excel、Access、そしてドキュメントの件と、3つに分けてお話します。
Excelで関数を使った自動化した後、計算式を変えなければならないような場合、セルにカーソルをあてて計算式を読み解いて処理内容を確認する必要があるため、データフローの見通しは悪くなります。
Accessの場合は、クエリやテーブルが増えていき、名前を工夫する等しないと最終形がわかりませんし、各クエリは順番通り実行しないと結果がおかしくなってしまいます。クエリから他のクエリを呼ぶなど、処理を追っていくのは結構大変です。
ドキュメントについては、先程の問題を解決するためには必須のものですが、多くの人はなかなかドキュメント作りたがりません。使い方の手順書までというケースも多いと思います。そもそも引き継ぎの時くらいしか日の目を見ないものなので、総じてドキュメントは作られにくいかと思います。
つまり、ExcelもAccessもデータのフローを構築するものではありませんし、それを明確にするためのドキュメントも作られにくい状況があります。
Case4:自動化の高いハードル
ExcelやAccessでは自動化するにはスキルが必要です。これはExcelやAccessがデータ分析やデータ処理を行うことを主目的としており、自動化はあとから別で行うものとしてアプリがデザインされているからとなります。
これら4つのExcel/Accessの問題を解決できるツールとしてAlteryx(アルテリックス)をご紹介します。
製造業の「困った」を「できた!」に変えるAlteryxの4つの力
今まで4つの問題にカテゴライズして紹介しましたが、Alteryxでどのようにして解決を図るか、ご紹介致します。
Excelマクロの「ブラックボックス化」や、特定担当者に依存するデータ処理は、多くの製造現場で共通の課題です。Alteryxは、データに接続後、データを加工・集計、さらには高度な分析を行い、データを作ったりレポートを作って結果を共有するソフトです。ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるGUIベースのツールであるため、プログラミング知識がなくても、Excelの関数が理解できるレベルであれば誰でもデータ処理のワークフローを作成・共有できます。これにより、担当者異動時もスムーズな引き継ぎが可能となり、分析ノウハウが組織全体で標準化されます。結果として、特定の個人に依存しない持続可能なデータ活用体制が確立され、教育・引き継ぎコスト削減に貢献します。また、接続できるデータは、ExcelやAccessデータに限らず、クラウドやGIS、データベースなど様々なデータソースが対象となります。
なぜExcelユーザーの方にAlteryxが適しているのかまとめてご紹介します。まず、Excelなどで自動化することを考えると、Alteryxは教育コストが低く誰でも使えます。また、データの流れがわかりやすいため属人化が解消できます。さらに、ツールの能力が高いため、スピードやデータ容量の悩みは消えてなくなります。最後に、データの処理と自動化が同時に完了するため、非常に運用が効率的です。
事例紹介(加藤産業様)
兵庫県に本社のある加藤産業様にAlteryxを導入していただきました。
Alteryx導入前は複数のシステムから工場の製造データ、材料費のデータ、勘定科目ごとのデータ、売上データ、棚卸データ、勤怠データといった複数のデータをExcelマクロで加工処理をおこなっていました。一部Accessマクロを利用してデータを抽出していたものもあります。これらマクロ処理のメンテナンスが属人化していたことが課題となっていました。
Alteryx導入後はExcelマクロで処理をおこなっていた部分、Accessマクロで行っていた処理をAlteryxにおきかえ、かつ出力結果をBIツールでもみれるようにしています。従来のExcelと比べると、計算スピードは圧倒的に速く、導入当初はどうしてもデータを修正して再投入し、再計算を繰り返すことがあったのですが、そこでスピードを実感していただいております。また、計算結果のアウトプットの出力が速い分、投入しているデータの精度が見えやすくったというお声もいただいております。
「処理時間の短縮」「ワークフローの可視化による属人化解消」処理ロジック変更の容易さによる「メンテナン性の高さ」といった導入効果を感じていただいています。
このプロジェクトでは、弊社が加藤産業様の既存の業務プロセスを深く理解した上で、Alteryxによる最適なワークフロー設計をご提案しました。これにより、単なるツールの導入に留まらず、データドリブン経営への移行を支援できたことが、成功の大きな要因となっています。
Alteryxは専門の知識がなくても活用が可能です。みなさまの業務内での使いどころが想像しにくいかもしれませんが、みなさんが一番苦労されているデータブレンドやクレンジング等のデータ準備の部分で、Alteryxの圧倒的な使いやすさから、導入されている事例も多く、評価されています。
まとめ
Excel/Access作業には4つの課題があることがわかりました。これをAlteryxに移行することで、属人化は解消し、ツールの能力はアップし、データフローの見通しは良くなり、自動化も簡単になります。総じて、業務効率アップができるかと思います!さらに機械学習や地理分析、レポーティング効率化といったおまけもついてきます。
初めてAlteryxを使用した際は、プログラミングに慣れていたことから逆に最初は使いづらいと感じていましたが、動かした際のスピードの速さに感動しました。
その後Alteryxに慣れると開発の時間が早くなり、他者が作成したものでも比較的容易に改造が可能です。個人的見解も入ってますが、実際問題、プログラムができる人はちょっと頭の切り替えが必要な感じがします。逆に、Excelの関数で緻密に関数を組んで自動化するような人に向いているのではないかと考えています。
おわりに
本記事でご紹介したように、AlteryxはExcel/Accessからの脱却を可能にし、製造業のデータ活用における属人化、ツールの限界、見通しの悪さ、自動化のハードルという4つの課題を根本から解決します。これにより、データ収集・分析の効率化はもちろん、品質管理の高度化、生産計画の最適化、そしてサプライチェーン全体の可視化といった、具体的な業務改善と高い効果を実現する強力な武器となります。
京セラみらいエンビジョンは、Alteryxの導入支援において、単なるツール提供に留まりません。データ活用に関する豊富な実務経験を活かし、お客様の既存システムとの連携から、最適なワークフロー設計、導入後の運用定着までを一貫してサポートすることも可能です。初めてAlteryxに触れる方でも安心して始められるよう、トレーニングや技術サポートも充実させていますので、「うちの会社でも本当にできるのか?」といった不安をお持ちの方も、ぜひ一度ご相談ください。
データ活用DXを、私たち京セラみらいエンビジョンと共に、次のステージへと押し上げませんか。
資料では解決策について具体的にご紹介していますので、是非ご確認ください。

