点検あるある その⑥
~定型文の裏切り~

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登場人物

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サブスくん (若手社員)

まだ経験が浅く真面目だが、たまに素の楽観主義を見せる。
スマホを器用に使いこなす世代。 

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テツ先輩(ベテラン社員)

経験豊富だが、アナログな作業に疲弊している。
こう見えても体育会系で苦労人。サブスくんを優しく見守る兄貴分。

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わたし (サブスくんのスマホ|物語の語り手)

最新技術を搭載し、仕事用スマホや人間たちを冷静に観察している。
賢くて少し皮肉屋。

やれやれ、今週の彼らは、システムが用意した「優しさ」に裏切られているようです。
私はサブスくんのポケットから、今日も彼らの奮闘を眺めます。
今回は、報告書のプルダウンメニュー(定型文)が原因で揉めているみたいですね。
フフフ。

今朝のオフィスは、キーボードを叩く音とは別に、テツ先輩の「うげげ...」という苦しそうな唸りが響いています。
彼は、先日の現場で発見した「深刻だがシステムにはない異常」を、どうしても伝えたいようです。


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「サブスくん!これを見て、この報告書」







テツ先輩が指さすPC画面には、サブスくんが作成した点検報告書が表示されています。
異常箇所には、『軽微な破損:対応済み』、と記載されています。

「いや、先輩、これで合ってますよ。プルダウンメニューには『重大』か『軽微』しかないじゃないですか。
現場の状況からいったら、まあ『軽微』っすよね。」

サブスくんが涼しい顔で答えます。
彼の合理的思考は、システムが用意した 「枠」 から出ようとしません。

「ちげえんだよなぁ。あの油圧ユニットのひび割れは、放っておいたら深刻度は上がっていく。
『軽微』じゃないんだよねぇ。知ってるでしょ。
でもな~、たしかに点検表の選択肢には『重大な故障』か『軽微な破損』しかない... なんでだ!?」

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テツ先輩は、現場の真実が定型文に埋もれてしまうことに怒りさえ感じてまいす。
彼は定型文を無視し、報告書の空欄に手書きでびっしりと詳細を書き込み始めました。
まるで魂の叫びのようです。

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「テツ先輩、それ、後でまた誰かがExcelに打ち直すんですよ? めんどくさくないっすか?」
サブスくんが冷静に指摘しますが、テツ先輩の熱量は上がっていきます。
僕は心の中で、冷静と情熱のなんとかって映画があったなーと思いだす。
が、それは全く関係なくて、点検業務の「あるある」は、ホントにいろいろあるなーと思いなおす。
現場の苦労や詳細な情報は、システムが用意したプルダウンメニューや定型文の裏側で、容赦なく切り捨てられていく。
せっかくの点検クラウドも、入力のインターフェース次第では、現場の事実は伝わらない。



もし、点検アプリを使っていたらどうでしょう?
Smartbeeのような点検アプリなら、定型文の他に、現場で詳細なテキストを自由に追記できる、
あるいは音声入力で記録できる機能があるはず。
写真にはGPS情報やタイムスタンプが自動で記録され、作業報告書に現場の「ヤバさ」がそのまま伝わります。

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僕の画面には、また新しいSNSの通知が表示されます。
外の世界では、AIが複雑な情報が要約されているのに、このオフィスの中では
報告書のせいで重要情報が削ぎ落とされているという、なんとも皮肉な世界の様です。
フフフフ。