AIとの付き合い方 その2

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前回のAIとの付き合い方に続き第2回になります。

振り返りとして、著作物との「類似性」及び「依拠性」が認められる生成物のアップロードや販売を行うためには、著作権者の利用許諾が必要であり、許諾なく行った場合は著作権侵害とされています。

著作物との類似性、依拠性をどのように認めるかについてですが比較分析、時間的な証拠の提示、作成過程の証言、専門家の意見、法的文書の準備などを行う必要があり、無限に発行されるAI生成物に対し、一つ一つ証明していくのは専門機関の人でも足りず、クリエイターの手も足りないため泣き寝入りする他ないというのが現状となります。

さて、AIによる生成物が著作物にあたるのかという本題となりますが、時間軸として「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」で分けて考える必要があります。

というのも、これらは行われている著作物の利用行為が異なり、関係する著作権法の条文も異なるためです。

「AI開発・学習段階」での考え方ですが、基本的に世に出回っているAIと呼ばれるものは下記が該当します。

・著作物を学習用データとして収集し、学習用データセットを作成。
・データセットを学習に利用して、AI(学習済みモデル)を開発

実はAI開発を行うにあたり、法改正が行われており、改正前は改正前は原則として著作権者の許諾が必要でした。

しかし、数十億点にもなる大量の学習用データについて個別に許諾を得ることが困難・非現実的という課題に直面し、これを文化審議会著作権分科会では、検討を踏まえたうえ、技術革新などの変化に対応できる、適切な柔軟性を確保した権利制限規定の在り方について、著作権法の改正に向けた検討を実施しました。

結果、著作権法第30条の4にて、AI開発のための情報解析のように、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく行うことが可能となりました。

学習するまでであれば、不利益を被る登場人物も少なかったためです。

では、「生成・利用段階」での考え方になりますが、ここで上述した問題が発生します。

AIを利用して画像等を生成した場合でも、著作権侵害となるか否かは、人がAIを利用せず絵を描いた場合などの、通常の場合と同様に判断されます。

議題となる条件は二つ。

・AIを利用して画像等を生成すること。
・生成した画像等をアップロードして公表、生成した画像等の複製物(イラスト集など)を販売すること。

ここでようやく世間の目に触れることとなります。

生成した画像等をアップロードしたり、生成した画像等の複製物(イラスト集など)を販売する行為自体については、権利制限規定に該当しない場合が多いとされていますが、既存の著作物との「類似性」及び「依拠性」が認められるAI生成物について、こうしたアップロードや販売を行うには、既存の著作物の著作権者の利用許諾が必要であり、許諾なく行った場合は著作権侵害となります。

実際の判例になりますが、今年2月中国で初の判決が出ました。

簡単に記載すると、被告は画像の著作権の侵害行為を直ちに停止し、賠償するといった内容でした。

あくまで海外の法の下ということもあり、これが直ちに日本にもということはないかと思われますが、世界的にも揺れ動いているといった状況になります。

AIとの付き合い方ということで利用するにあたって気をつけなければいけないこと、政府の考え方を残させていただきました。

今後の展開によっては覆ることもあるかと思うので要注視の内容かと思います。