ICTインフラソリューション部のグエンです。前回は、Novaについて説明しました。
今回は、GlanceというOpenstackのイメージを管理するコアサービスを説明しようと思います。
Glanceとは
GlanceはOpenStackの構成要素の一つであり、VMイメージの管理を行います。VMイメージは仮想マシンの設定や内容を保存したもので、将来的に同様な環境を再現する際に役立ちます。GlanceはこれらのVMイメージをデータストアに保存し、必要に応じてVMイメージを提供します。
コンポーネントとその機能
・glance-api: イメージの操作(検出、取得、保存など)を行うためのAPIを提供します。glance-apiは、ユーザーからのリクエストを受け付けるエンドポイントであり、認可もこのコンポーネントで処理されます。
・glance-registry: イメージに関するメタデータ (サイズ、タイプなど) を保存、処理、取得します。
・Glance データベース: イメージメタデータを保存するデータベース
・Glance ストア: 実際のイメージファイルのストレージリポジトリです。Glance は、通常のファイルシステムAmazon S3、HTTP、Swiftなどをサポートしています。
イメージを作成する手順
Red Hat、Ubuntuなどのベンダーや、DebianやFedora などのコミュニティプロジェクトはクラウド対応のイメージを提供します。
OSは、PC上で稼働する小規模なテストクラウド上で実行します。
独自のイメージを手動で作成する手順は以下になります。
1. 任意のハイパーバイザーに仮想マシンを作成します。
2. 仮想マシンでISOからOSをインストールします。
3. イメージは複数マシンの起動に使用されるため、固有情報(ネットワークアドレス、ホスト名など)を全て削除します。
4. 初期化用のソリューションをインストールします。仮想マシンを起動するときに、そのマシンの固有情報を設定する必要があります。このため、DHCP、SSHなどの固有情報を追加します。
5. 仮想マシンをシャットダウンします。
6. 仮想マシンのルートディスクを保存します。
ディスクフォーマットとコンテナフォーマット
Glance は、仮想マシン イメージを保存・管理するための様々なディスクフォーマット、コンテナフォーマットをサポートしています。ディスクフォーマット、コンテナフォーマットは次のとおりです。
★ディスクフォーマット
フォーマット | 主な使用元 | 説明 |
---|---|---|
qcow2 | QEMU, KVM | copy-on-write(変更部分のみを記録)方式を使用する仮想ディスクイメージ。スナップショットの取得やディスクの圧縮が可能。 |
aki, ari, ami | AWS | AWSで使用されるカーネルイメージ(aki)、RAMディスクイメージ(ari)、マシンイメージ(ami) |
vdi | Virtualbox | VirtualBoxで使用される仮想ディスクイメージフォーマット |
vhd | Hyper-V, Xen | MicrosoftのHyper-VやXenで使用される仮想ハードディスクフォーマット |
vmdk | VMWare | VMwareで使用される仮想マシンディスクフォーマット |
iso | - | CD-ROMまたはDVD-ROMのイメージファイル。仮想マシンのインストールメディアとして使用されることが多い。 |
raw | - | ルートディスクのRAWコピー。最もシンプルなディスクイメージフォーマットで、他のフォーマットに変換しやすい。 |
★コンテナに格納されるもの
フォーマット | 説明 |
---|---|
ovf | VMWare主導のオープン標準 |
aki, ari, ami | カーネル、RAMディスク、マシンイメージ用のAWSフォーマット |
ova | tar アーカイブのovfの標準 |
compressed | zip, rarなどの形式で圧縮されたイメージ、コンテナ |
bare | コンテナなし |
以上がディスクフォーマットとコンテナフォーマットについての説明になります。これらのフォーマットは、以下の操作説明の「イメージソース」で利用します。
イメージ作成・削除
★Horizonでイメージ作成・削除
「Image(イメージ)」をクリックして、存在するイメージのリストが表示されるページに移動します。
この例では、Ubuntu 22.04 LTS (Jammy Jellyfish)から「ubuntu」イメージを作成します。イメージファイルはこちらからダウンロードします。
ダウンロードが完了したら、「イメージの作成」をクリックします。
以下の赤枠に従って設定を行います。設定が完了したら、「イメージの作成」ボタンをクリックします。
イメージリストに「ubuntu」のイメージが作成されました。
CLIでも「ubuntu」イメージを確認できます。
※「形式」の中にフォーマットについていくつか選択肢があります。各フォーマットを【ディスクフォーマットとコンテナフォーマット】にて説明しています。
★Horizonでイメージ削除
作成したイメージ「ubuntu」を削除します。削除したいイメージの「▼」をクリックし、「イメージの削除」をクリックします。
イメージ削除の確認画面で「イメージの削除」を選択します。
イメージを削除できました。
CLIでも削除の確認ができます。
★CLIでイメージ作成
この例では、Ubuntu 22.04 LTS (Jammy Jellyfish)のイメージを作成します。
1. CLI上でイメージファイルをダウンロードします。
wget https://cloud-images.ubuntu.com/jammy/current/jammy-server-cloudimg-amd64.img |
2. カタログエントリを作成します。
openstack image create ubuntu --public --disk-format qcow2 |
3. イメージのアップロード(glace CLIが必要)
glance image-upload -file <ダウンロードしたイメージファイル名> <イメージのUUID> |
4. 結果の確認
openstack image list |
CLI
Horizon
★CLIでイメージ削除
1. イメージの削除
openstack image delete ubuntu |
2. 結果の確認
openstack image list |
以上の手順で作成したイメージを、【第5回 Nova #2】のインスタンス作成の際に選択することで、起動させることが可能です。このインスタンス作成の説明は省略します。
第6回は以上となります。次回、Neutronを説明します。
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