京セラみらいエンビジョン株式会社のICTインフラソリューション部のグエンです。第1回目は、OpenStackの概要について説明しました。
第2回目は、OpenStackの機能、動作、メリット・デメリット、コミュニティとエコシステムの全体像を説明させていただきます。
OpenStackの機能
OpenStackは、様々な機能で構成されています。オープンソースであるため、誰でもOpenStackに機能を追加して、ニーズに合わせて要件を満たすことができます。OpenStackコミュニティは、OpenStackコアの構成要素である9つの主要な機能を共同で特定しました。これらの機能は、OpenStackシステムの一部として配布され、OpenStackコミュニティにより公開されました。
以下に9つの機能を説明します。
- Horizon(ダッシュボード):Webベースでクラウドコンピューティングリソースの管理や監視を提供するためのユーザーインターフェースです。
- Keystone(アイデンティティ):アクセス制御と認証を提供するアイデンティティサービスです。
- Nova(コンピュート):仮想マシンやインスタンスのデプロイと管理を行う基本的なコンピュートサービスです。
- Glance(イメージ):イメージサービスを提供し、仮想マシンのテンプレートとして使用されます。
- Neutron(ネットワーキング):仮想マシン間のネットワークや通信を管理するネットワークサービスです。
- Cinder(ブロックストレージ):ブロックレベルの永続的なストレージを提供します。
- Swift(オブジェクトストレージ):オブジェクトとファイルの保存に使用されるストレージサービスです。
- Ceilometer(テレメトリー):クラウドのリソース使用状況やパフォーマンスデータを収集し、モニタリングや請求に利用されるテレメトリサービスです。
- Heat(オーケストレーション):テンプレートを使用してクラウドインフラストラクチャを定義、作成、管理するオーケストレーションサービス(統一管理サービス)です。
OpenStack はどのように動作するか
OpenStackはInfrastructure as a Service(IaaS)として機能し、クラウド機能を実行するための新しいインスタンスの追加をユーザーに簡単にサポートします。基本的なインフラストラクチャの目的は、開発・デプロイ、データ分析、機械学習と人工知能などができる「プラットフォーム」を提供することです。
OpenStackの機能の1つであるHorizonはアプリケーション環境のインターフェースであり、ユーザーはダッシュボード(画面)を介して作業を開始します。OpenStack上のすべてのアクションはサービスAPI呼び出しとして機能し、Keystoneによって権限が認証されます。
ログイン後、ダッシュボードにはイメージインスタンスの作成、Cinderボリュームの管理、ネットワークの詳細の構成などのオプションが表示されます。イメージインスタンスは仮想マシンや環境のインスタンスであり、Linux環境(Ubuntu、CirrOS、RedHat、OpenSUSEなど)だけでなく、他のOSも利用できます。新しいインスタンスの作成やデータ管理などのアクションはAPI呼び出しを伴います。データの計算はクラウドインスタンスに保存され、設定変更はダッシュボードで行えます。
OpenStackの機能を通じて、柔軟性と効率性が向上し、新しいクラウド体験が可能となります。これにより、ユーザーはリモートでのコンピューティングを効果的に活用できます。
OpenStackのメリットとデメリット
OpenStackの利用には様々なメリットとデメリットが存在します。
メリット:
1.オープンソース:OpenStackはオープンソースであり、無料で入手できます。これにより、企業はライセンス料金を支払うことなく、クラウドインフラストラクチャを構築できます。
2.柔軟性と拡張性:OpenStackは高い柔軟性を提供し、異なるハードウェアやネットワーク構成に対応できます。また、各機能がモジュール化されており、必要に応じて機能を追加できます。
3.プライベートクラウド構築:OpenStackを使用すると、組織はプライベートクラウドを構築してデータとアプリケーションをセキュアに管理できます。
4.大規模なスケーラビリティ:Novaは大規模なスケーラビリティを提供し、数千台の仮想マシンをサポートできます。
5.豊富な機能セット:OpenStackは計算、ストレージ、ネットワーキング、認証、オーケストレーションなど、豊富な機能セットを提供しており、多岐にわたるクラウドニーズに対応できます。
デメリット:
1.複雑性:OpenStackの構築と管理は複雑であり、経験が必要です。初めて利用する場合、専門知識がないと導入が難しいことがあります。
2.リソース要件:大規模なインフラストラクチャを構築するには相応のハードウェアリソースが必要です。これには専用のハードウェアやスキルセットが必要となります。
3.統合の複雑性:異なるOpenStackの機能が複数のプロジェクトとして開発されており、これらの統合と動作の調整は非常に複雑です。
4.サポートとトレーニング:サポートやトレーニングが不足している場合があり、組織は自己学習や外部のコンサルタントの支援を必要とすることがあります。
京セラみらいエンビジョンではこれらのデメリットに対処し、お客様にとってよりスムーズなOpenStackの導入と管理をサポートします。当社では専門のサポートやトレーニングを提供し、複雑な統合作業も円滑に行います。お客様のニーズに合わせて、OpenStackのメリットを最大限に引き出せるようお手伝いいたします。
コミュニティとエコシステム
OpenStackは、世界中で数千人以上の開発者、企業、ユーザーが参加する大規模で活発なオープンソースコミュニティに支えられています。このコミュニティは、サミットやイベントを通じて絶え間ない議論やアイデアの共有を行い、OpenStackプラットフォームの向上に向けて協力しています。
同時に、OpenStackのエコシステムは様々なツールやプロジェクトが統合されています。これにより、ユーザーは柔軟性と拡張性を兼ね備えたクラウド環境を構築できます。オープンソースのツールやプラグイン、ドライバーが提供され、これらの構成要素がOpenStackの進化を支え、ユーザーが異なる要件に合わせて自由にカスタマイズできるように促進しています。
今回は以上となります。京セラみらいエンビジョンは、OpenStackサービスを活用し、設計、概念実証、構築および運用・技術支援サービスを提供しています。導入、バックアップまで、幅広いソリューションに対応しており、お客様の興味や要望に応じて柔軟にご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。
OpenStack導入サービス
OpenStackを仮想基盤としてサービスの包括的な技術支援を提供します。製品の検討段階から設計、PoC、構築、運用、技術支援まで行い、効率的でセキュアなクラウド基盤の構築をサポート致します。
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