はじめに
こんにちは、京セラみらいエンビジョン株式会社のICTインフラソリューション部のグエンです。この度は、私がOpenStackに関する初回の記事を執筆させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、このコラムについて簡単にご紹介させていただきます。京セラみらいエンビジョンは、クラウドファーストの時代に向けて、お客様の多岐にわたるクラウドニーズに応えるべく、オープンなクラウド環境であるOpenStackに適したプライベートクラウドの構築・サービスを提供します。
このコラムは将来、OpenStackのクラウドサービスを利用したい担当者向けに、次のような情報を発信することを意図して開設されたブログとなります。
・OpenStack概要
・OpenStack詳細
・OpenStack構築
・京セラみらいエンビジョンのソリューション、サービス紹介
それでは、OpenStack概要についてご紹介いたします。
OpenStackとは?
OpenStackは、オープンソースのクラウドコンピューティングプラットフォームであり、IaaSの管理に必要なソフトウェアモジュールとツールを提供します。このプラットフォームはOSSであり、このコラムではOpenStackの主な利用用途であるプライベートクラウドとしてご説明いたします。
OpenStackは、サービスとしてのIaaS機能を提供し、大規模なコンピューティング、ストレージ、ネットワークリソースを管理します。ベアメタル(物理)ハードウェア、仮想マシン、コンテナーなどのこれらのリソースを、APIおよびOpenStackダッシュボードを通じて管理することができます。他のOpenStackコンポーネントは、信頼性の高い高可用性の運用をサポートすることを目的としたオーケストレーション(統一管理)、障害管理、サービスを提供します。
以上の機能で、企業やサービスプロバイダーは、OpenStackを利用してデータセンター内でプライベートクラウドを構築することができます。
どんなユーザーに適しているか?
OpenStackは、企業やサービスプロバイダ、研究機関、開発者、そして個人ユーザーに向けて、柔軟で拡張可能なクラウドコンピューティングプラットフォームを提供します。オープンソース性と豊富な機能セットにより、クラウドインフラの構築と管理が容易であり、企業のアプリケーションをOpenStack上で利用するケースが増えています。
一般的に、企業はパブリッククラウドとプライベートクラウドの導入を検討する際に、それぞれのメリットとデメリットを考慮します。パブリッククラウドは柔軟性やスケーラビリティに優れ、利用に際しては料金が発生します。また、セキュリティの一部がクラウドプロバイダに依存します。一方で、プライベートクラウドは追加費用が掛からず、自己管理が可能ですが、初期の設定や拡張には一定の労力が必要です。
このため、企業はセキュリティやデータの完全な管理が求められる場合には、プライベートクラウドを選択することがあります。OpenStackのようなオープンソースプラットフォームは、プライベートクラウドの利用を促進し、企業が柔軟かつ効果的に自己管理型のクラウド環境を構築できる手段となっています。
OpenStackの導入事例
OpenStackは、多くの企業や機関が自社のクラウドインフラストラクチャを構築するために積極的に活用しており、その採用が着実に広がっています。この柔軟性のあるプラットフォームは、プライベートクラウドの構築や通信サービスプロバイダのネットワーク機能仮想化、大学の研究プロジェクト、データセンターの効率的な管理など、様々なユースケースで利用されています。
企業内のプライベートクラウド:
ユーザーサービスの提供は、企業がOpenStackを使用して異なる部署に対して仮想リソースを提供し、従業員が必要なときに利用できるようにすることが可能になります。例えば、開発者が開発とテスト環境をプロビジョニングするためにOpenStackを活用しています。
通信サービスプロバイダのネットワーク機能仮想化(NFV):
柔軟なネットワークサービスは、通信サービスプロバイダがOpenStackを活用して実現しています。具体的には、ネットワーク機能仮想化(NFV)の導入により、仮想ルーターや仮想ファイアウォールなどの柔軟で効果的なネットワークサービスを提供しています。
大学の研究プロジェクト:
計算リソースのプロビジョニングは、大学や研究機関がOpenStackを活用しています。具体的には、大規模な計算リソースを柔軟・効率的にプロビジョニングし、科学的な研究プロジェクトやデータ解析を効果的にサポートしています。
データセンターのオーケストレーション:
効率的なデータセンター管理は、大規模なデータセンターがOpenStackを活用しています。例えば、OpenStackを利用して仮想化されたリソースのオーケストレーションを行い、リソースを効率的に管理しています。
以上のように、OpenStackは様々な産業やプロジェクトで利用され、企業や組織が導入する際には特定の要件や目標に基づいたカスタマイズをするのが一般的です。将来に向けてOpenStackの拡大が期待され、企業や通信会社の採用が増加しています。これに伴い新たな課題にも果敢に対処し、OpenStackは企業のハードウェア依存度を低減させ、アプリケーションの安定性を向上させ、ユーザーの業務遂行を効果的に支援しています。
OpenStackとAWSの違いは?
クラウドコンピューティングにおいて、パブリッククラウドとプライベートクラウドは異なるアプローチを取ります。パブリッククラウドは主要プロバイダにより提供され、柔軟性やスケーラビリティがあり、従量課金制で利用可能です。一方で、プライベートクラウドは組織が自己運用またはサードパーティにより運用され、高いセキュリティとコントロールが特徴で、コストの予測が容易です。
OpenStackとAWSはクラウドコンピューティング分野において異なるアプローチを取っています。OpenStackはプライベートクラウドを代表し、オープンソースのクラウドプラットフォームであり、ユーザーが自己ホスティング可能で柔軟性があります。一方で、AWSはアマゾンが提供する商用クラウドであり、完全にマネージドされたサービスを提供しています。
このようなアプローチの違いにより、OpenStackとAWSのそれぞれには異なるメリットがあります。
OpenStackのメリット:
・企業が独自の要件に合わせてサービスの設計を行えるため、企業ポリシーに適した高度なセキュリティ管理が実行できる
・高いカスタマイズ性を備えており、業務に合わせて独自のシステムを構築することが可能
AWSのメリット:
・サービスとして提供されているため、初期導入が不要であり、導入の手間が少ない
・従量課金制であり、必要な時に必要な分だけ利用することが可能
また、OpenStackとAWSはクラウドという意味では共通であり、提供サービスについても共通点があります。それぞれの提供サービスの比較表を以下に示します。
各サービスの機能の詳細は第2回で説明します。
どちらのプラットフォームも同様のサービスを提供しており、最終的な選択は使いやすさやアプリケーションと組織のニーズに依存します。 一方、OpenStack はオープン構造のネットワークにより、システムの障害からの回復を促進し、企業の収益性向上に寄与します。 AWS は、サービスと柔軟な顧客サポートにより、新興企業や中小規模のIT分野で広く利用されています。また、プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドを構成することも可能です
最後に、プライベートクラウドにおいてはセキュリティとコントロールが重要視され、OpenStack は柔軟性とセキュリティの面で企業や組織に適したクラウドインフラストラクチャの構築・管理が可能となります。したがって、柔軟性やセキュリティを重視する企業や組織にとって、OpenStackを導入してプライベートクラウドを構築することは魅力的な選択肢となるでしょう。
第1回のコラムは以上になります。
次回はOpenStackの詳細について説明していきたいと思います。
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